日本語のバイエルの概要

日本語は膠着語

言語には3つの系統があると言われています。独立語、屈折語、膠着語(コウチャクゴ) です。

英語のように、語順によって意味が決まってくる言葉が独立語です。主語があって、その後に動詞が続きます。フランス語は屈折語に該当します。語尾変化などによって、文の意味が変わってきます。

日本語は、膠着語にあたります。助詞を接着剤にして、言葉がつながっていきます。独立語のように、語順によって言葉の意味が決まるわけではありません。「私は、今日、学校に行きました」と「今日、私は、学校に行きました」のように語順が違っても間違いではありません。

日本語の場合、この言葉と言葉を糊づけする助詞が大切になります。

 

リズムと論理で考える

日本語のリズムを感じとることはとても大切です。そのリズムに大きな影響を与えているのが助詞です。中核となる助詞の特徴は、2つあげられます。

(1) ドレミと同様、1音からなる。
(2) 音の高い低いに相当する強い弱いがある。

文章を読んでいて、何となく違和感があるときには、助詞を再確認する必要があります。私達は、リズム感によって文章の正しさを感じとっていますから、違和感があるときは、何かリズムが乱れている可能性があります。そういう時、論理的に検証できると安心できます。

日本語のバイエルは、文章のルールです。読み書きに使える基準を提示します。これが指針となります。

 

中核的道具:主体と述部

学校では、主語と述語というのを習ったはずです。しかし、主語と述語ではとらえきれないものがあります。

(1) この本はおもしろい。
(2) この本はおもしろかった。

この2つの文章の主語は何になるのでしょうか。述語はどうでしょうか。
おそらく、(1)も (2)も、主語は「本(は)」となり、述語はそれぞれ「おもしろい」と「おもしろかった」になるのでしょう。

学校で習った伝統的な文法では、述語には3種類あって、それぞれの品詞で分類しています。述語が名詞である場合、名詞述語と呼ばれます。形容詞の場合、形容詞述語、動詞の場合、動詞述語となります。

上記の例文は2つとも、述語の品詞を見て、形容詞述語という文法の解説がなされるはずです。しかし、2つの文章に、別のニュアンスの違いを感じとれはしないでしょうか。

述語に関して、誰あるいは何が、「おもしろい」のか、「おもしろかった」のか、考えてみたら、どうなりますか…?

(1) の場合、「この本」が「おもしろい」のでしょう。
(2) の場合、「わたし」が「おもしろかった」のでしょう。

同じ形容詞述語だという説明では、何か不十分な気がします。そこで「主体」という概念を使います。(1) (2) の場合、それぞれ「この本」「わたし」が主体になります。

長い文章の場合、主体と述部の対応関係がおかしくなるケースも時々見られます。文の論理性は、主体と述部の対応関係にあります。したがって、主体と述部をチェックすると、その文の大枠がきちんとしているのか、ぐらついているのか、分かります。

 

助詞の接続の仕方

日本語の文章を成り立たせている大切な要素が4つあります。

「主体」と「述部」を中心にして、この主体と述部の対応関係に、絞りをかけるのが「焦点」、制限を加えるのが「前提」です。この4つを意識すると、読解のときに役に立ちます。文意をとるときの基準になります。

主体、焦点に接続する助詞の種類によって、3つの文型ができています。
(1) 実体(説明・定義)の文型
(2) 状態(性質・状況)の文型
(3) 行為(行動・存在)の文型

(1) の場合、焦点がありません。(2) の場合、焦点に「が」が接続します。(3) の場合、行為の文型の焦点には、「に」「を」が接続し、存在の文型には、「に」が接続します。

こうした4つの要素と3つの文型は、読み書きの指針になります。ビジネス人なら、自分で自分の文章を検証することができるようになります。小学生ならば、適切な指導によって、作文も読解も向上します。

「4つの要素」、「3つの文型」 を十分に使いこなせるようになれば、読んだり書いたりするときに、どうしたらよいのか、わかってきます。文章に自信が持てるようになります。

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